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国原譜

奈良市の正倉院で「開封の儀」が行われた…

 奈良市の正倉院で「開封の儀」が行われた。天平の至宝を収めた宝庫に正装の人々が入る風景は、秋の風物詩となっている。

宝庫の扉を開くのは宝物を点検するためであり、研究や修理も平行して行われる。恒例の正倉院展を心待ちにする人も多いだろう。

 宮内庁正倉院事務所のキンモクセイの香りが開封間近のサインになると、所長だった杉本一樹氏の著書「正倉院」(中央公論新社)にある。現場の様子もそこに詳しい。

 宝庫に再び勅封がかけられるまで約2カ月間。点検は全ての宝物が対象だが、作業は午前、午後の各2時間に限られる。集中力を維持するためで、ベテランと中堅、新人を組み合わせたチームで順に点検を進めるという。

 宝物の扱いや観察すべきポイントなど、先輩の仕事を見習うことで新人も習熟度を上げていく。各チームが「高齢の宝物にとってのホームドクターであり、看護師」と杉本さんは書いている。

 今年の正倉院展は奈良国立博物館で26日に始まる。今も輝きを失わない宝物が、長年にわたる人々の努力によって今あることを忘れないでいたい。(増)

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