昭和57(1982)年公開の映画「ブレードランナー」が県内で再上映されている。近未来を描いたSFだが、時代設定は2019年11月。映画の世界に時代がもうすぐ追いつく。

　登場する未来の道具のうち、テレビ電話はすでに実現。しかも映画では固定式だが、今は携帯端末で使える。人と変わらない人造人間やオリオン座に行ける宇宙船は実現していないが、通信機器の進歩は当時の想像を超えたようだ。

　しかし、最新機器も電気がなければ使えない。関東地方を直撃した台風15号による千葉県などの大規模停電は、最新設備も一歩間違えれば砂上の楼閣になりかねない恐怖を示した。

　被災地の避難所では飲料水を求める人のほか、スマホを充電する人の列もできているという。充電が可能でも基地局が復旧されなけば電波は届かない。

　ブレードランナーの世界は公害のために常に酸性雨が降り続く。地球温暖化が原因とされる気象変動が続く現代にも通ずる。

　我々は科学技術を過信することなく、自然に対しても謙虚にならないと。被災地の一日も早い復旧を願いたい(法)