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国原譜

「その瞬間、戦慄すべき現象が起った。(…

 「その瞬間、戦慄すべき現象が起った。(中略)地震計の針が一本残らず飛び散り、すべての地震計が破壊してしまったのだ」。故吉村昭さんの小説「関東大震災」(文春文庫)で描かれた震災の激しい揺れだ。

 96年前の大正12年9月1日正午前、関東地方南部を大規模な地震が襲った。犠牲者は10万人以上で、昼食の調理の火などによる火災が被害を拡大したといわれる。

 記録文学の旗手の作品は、関東大震災発生から復興までを丁寧に記す。流言を信じた民衆による朝鮮人虐殺も描かれ、淡々とした文章がその怖さを倍増させる。

 きょう1日は関東大震災にちなんだ「防災の日」。県内各地でもさまざま防災への取り組みがあり、奈良市では市全域での初めての一斉総合防災訓練が行われる。

 災害の少ないとされる本県だが、歴史を振り返れば決して無縁ではない。嘉永7(1854)年の伊賀上野地震では震度7の揺れが襲ったとされ、多くの死者が出ている。

 積極的に地域の訓練に参加し、万一に備えた心構えを養うことが大切だ。備えあれば憂いなし。(法)

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