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国原譜

明治維新の先駆けとなった幕末の天誅組。…

 明治維新の先駆けとなった幕末の天誅組。五條から本陣とした天の辻へ向かう途中、賀名生 (あのう)の郷士・堀家に立ち寄った。

 同家は後醍醐天皇ら南朝の仮皇居跡。一行は歓待を受けたらしく、同家に残る芳名帳「来賓性名録」には志士たちが南朝ゆかりの品を見て感動したことが記されている。

 その時の品の一つかもしれないのが、後醍醐天皇下賜(かし)の伝承が残る日の丸の旗だ。江戸時代に老中・松平定信が行った全国の古美術品調査でも「後醍醐天皇所賜御旗」とされている。

 最近、この旗の年代分析が行われ、室町時代から江戸時代に作られたことが判明した。後醍醐天皇の時期から130年以上の開きがあり、残念ながら伝承の正当性には疑問が生じた。

 それでは堀家に旗を贈ったのは誰か。分析の結果、旗の生地は絹製で、日の丸の赤い染料には朱が使われていたことも分かった。いずれも当時は高価な材料で、かなりの身分の高い人物だったと想像できる。

 一つの謎が解明されれば、また一つの謎が生まれる。やはり、吉野の歴史は奥深い。(法)

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