夏休み当初と終盤、以前はプールバッグを手に登校する児童をよく目にした。だが近年、プール開放が縮小、中止される状況が各地で相次ぐ。

　保護者を含む監視員の不足や、猛暑での水温上昇による熱中症への懸念などが理由のようだ。少子化や共働き家庭の増加、温暖化の時代が映る。

　夏休みのプール通いは涼とは別に、不規則になりがちな生活にリズムを生み、自然に体力がつくことにもなった。社会変化と片付けるには惜しい気がする。

　息子の通う県内の小学校でも似た状況で、水泳の授業自体も減る傾向。ほとんどの学校にあるプールだが、稼働率の悪い施設になりつつある。

　学校での水泳のあり方を再考する時期なのは間違いない。もし体力や泳力、水との接し方の習得などで学校水泳をまだ有用とするなら、自治体単位で予算使途、取り組み方を変える必要があろう。

　民間も考慮した屋内プールの使用、指導の委託への転換も想定範囲。屋外プールの水温を極力安価に下げたり、人材確保の創意工夫にも期待したい。プールからの児童の歓声は単なる郷愁ではないはずだから。(智)