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金曜時評

希望持てる日本に - 編集委員 黒田 高弘

 2018年の日本人の平均寿命は女性が87・32歳、男性が81・25歳となり、ともに過去最高を更新したことが厚生労働省が発表した簡易生命表で分かった。

 平均寿命は、今後、死亡状況が変化しないと仮定し、その年に生まれた0歳児が平均で何歳まで生きられるのかを予測する数値。女性は脳血管疾患と肺炎による死亡率、男性はがんによる死亡率がそれぞれ改善したため寿命が延びたとされる。

 その一方、総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、今年1月1日時点の国内の日本人は1億2477万6364人で、前年から過去最大の43万3239人減少。平成21年をピークに10年連続で減少している。

 人口割合でみると、年少人口(0~14歳)が12・45%なのに対し、老年人口(65歳以上)が28・06%、年少人口は平成6年以降毎年減少し、老年人口は毎年増加。生産年齢人口(15~64歳)も毎年減少傾向にあり、今後さらに少子高齢化が進むことが予想される。

 国立社会保障・人口問題研究所は、2030年には人口が1億2千万人を下回り、40年には1億1千万人、2100年には5900万人まで激減すると試算。このまま人口減少が加速すれば、医療や商業などの生活サービス施設が人口の少ない地域から撤退する可能性もあり、いくら平均寿命や健康寿命が延びたとしても、住み慣れた場所で暮らすことが困難になる可能性もある。

 かといって、人口増加への特効薬はない。「少子化対策白書」をみても、結婚については晩婚化と未婚化が進んでおり、特に年収の低下、非正規雇用の拡大など若者の労働環境が悪く、出産についても子育て費用の面から躊躇(ちゅうちょ)が見られる。

 参院選に勝利し、非改選と合わせ過半数を獲得した自公政権だが、両党の公約に人口増加案はみられない。自民党は、人生100年時代の社会づくりに向け、(1)「人生100年型の年金」を実現し、豊かな老後を守る(2)「100人100色の働き方改革」を進め、多様な生き方を支える(3)「保育受け入れ100%」に向け、子育て支援をさらに強化するーの「3つの100」の実現を掲げ、「誰もが安心、活躍できる人生100年社会をつくる」とするが、もっと若者たちの現状を鑑みた施策を推進すべきだ。

 高齢者を支える側の若者たちが将来に希望が持てる日本の実現を願いたい。

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