注目記事2024年春 奈良県職員人事異動 発表!

国原譜

梅雨明け直後の涼やかな早朝、奈良市の拙…

 梅雨明け直後の涼やかな早朝、奈良市の拙宅でヒグラシの声を聞いた。かつてこの時期に担った、六甲山での親子連れキャンプの仕事の情景が思い起こされた。

 風や水の音、まちのけん騒、話し声といった耳から入ってくる情報で想像力がかき立てられることがある。状況の把握は目で見る方が早く確かだろうが、空想の広がりは耳情報が勝る。

 朗読や落語、講談、浪曲など語りの分野から届く言葉も、聞き手にそれぞれ自由な景色を構築させてくれる。聴取者の数だけイメージが存在するともいえる。

 個人的に愛聴しているものにラジオドラマがある。声優のせりふと効果音でつむぎ出される物語が、頭の中で膨らむのが心地いい。

 映像と比べ刺激に欠けるかもしれない。だが、耳に届いた音声から登場人物の心情も推察し、自分なりに作り上げた世界は、静かに記憶の中に染み込んでいく。

 情報機器の進化は止まらず、テレビの解像度は上がる一方。ゲーム機器しかりで、以前にも増して視覚優先の時代ではある。しかし、聴くことを通して情感を豊かにする楽しさは失いたくない。(智)

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド