「死の側より照明(てら)せばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも」。きのう23日に開かれた公開講座で興福寺の多川俊映貫首が女流歌人斎藤史さんが詠んだ歌を紹介した。

　講演のテーマは「あまねく見る」。社会が複雑多様化する中にあっても、人間は物と心、生と死など、二つに分別しがちだが、この歌は生と死を分けておらず、まさに「あまねく見る」ことができていると紹介。

　分別は人間の知恵であり、好都合と不都合に分けたがるが、あまねく見ることで心が豊かになると多川師。

　第25回参議院議員選挙が終わった。自公は前回16年選挙の69議席から2議席増やし、非改選と合わせ過半数を獲得。今後、消費税増税や安倍首相肝入りの憲法改正論議が加速化することが予想される。

　一方、総務省によると、選挙区投票率は48・50%で、過去最低の44・52%に次ぐ低水準。国民の約半数が票を投じない結果に。

　安倍政権には今回の結果だけをみておごるのではなく、野党に投票した人々や投票行動に移さなかった人々の思いも「あまねく見た」政治を求めたい。(黒)