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国原譜

来月6日から、維摩居士坐像(国宝)をは…

 来月6日から、維摩居士坐像(国宝)をはじめとする興福寺の仏像が福島県立博物館で展示される。東日本大震災の復興を願うもので、会津の地で興福寺の寺宝が公開されるのは初めてという。

 興福寺と会津の縁は平安初期の僧、徳一にさかのぼる。徳一は南都で法相教学を学び、東国各地で布教。会津に仏教文化を花開かせた。

 徳一は天台宗の開祖・最澄との「三一権実論争」でも有名。天台宗の根本経典である法華経を巡る論争で、互いの著作を通した激しいやりとりがあった。

 後世、日本最大の教団に発展した天台宗に対し、徳一の後継者は歴史の中に埋もれた。そのため、南都出身の徳一を改革派に対する「抵抗勢力」として理解されることが多い。

 しかし、この論争は視点を変えれば「会津対京都」「地方対中央」の構図にもなる。国家権力を背景とした中央教団に対し、一地方の僧侶が真っ向から挑む姿は痛快だ。

 徳一を育んだ興福寺は何度も天災や戦乱で伽藍(がらん)を失い、その度に復興してきた。その姿や精神は復興の道半ばの東北の人々を勇気づけることだろう。(法)

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