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国原譜

発見されたわずかな遺物が特別な古墳であ…

 発見されたわずかな遺物が特別な古墳であることを示している。香芝市の平野塚穴山古墳で、墳丘に貼ったとみられる石材や、石室の石にうがたれた「てこ穴」が見つかった。

 国の史跡に指定されのは半世紀ほど前。それに先立つ調査では、布を漆で固めた最高級のひつぎ片が見つかり、斉明天皇の父、茅渟(ちぬ)王の墓といわれてきた。

 今回見つかった貼り石は、明日香村の天武・持統陵や牽牛子塚古墳と共通、天武天皇は茅渟王の孫に当たる。石材に象徴される天武の王統の流れが見えてくる。

 草木に覆われて外観が変わった古墳も、完成当時は墳形や立地が重要なメッセージを発していた。明日香村とは離れているが、3基の古墳は同じ輝きを放っていたのだろう。

 「てこ穴」は高松塚古墳とキトラ古墳でも見つかっているが、極彩色の壁画が確認されたのは両古墳だけだ。平野塚穴山古墳が茅渟王の墓とすれば、7世紀後半とされる築造年代の解釈が問題となる。

 共通点が浮かぶたびに謎も深まる古墳の調査。将来の調査や研究で、「表札」の字が少しずつ浮かんでくるだろう。(増)

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