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金曜時評

ワースト2脱却を - 編集委員 山下 栄二

 県内市町村の“借金”に当たる、地方債残高や債務保証額などの負債の規模を表す「将来負担比率」の県平均が全国平均を上回る状況が続いている。平成29年度の決算によると全国平均33・7%に対して県内37市町村の平均は77・8%。中でも河合町(219・1%)は、全国最下位で財政再生団体である北海道夕張市(516・2%)に続く全国ワースト2。同町は財政の立て直しが喫緊の課題となっている。

 将来負担比率は、家庭でいうローン残高や債務保証の状態を見る指標。数字が大きくなると返済が長引き、家計が苦しい。

 「第2の(財政が破たんした)夕張市にならないように」。4月にあった3候補による河合町長選は、財政立て直しが争点の一つとなった。ただ、多くの町民にとって「家計の窮状」は寝耳に水であったようだ。一時期、早期健全化団体に陥っていた御所市、上牧町に比べ危機感が乏しかったといえよう。

 県西部に位置し大阪圏への通勤が便利なことから、河合町は高度成長期以降に大阪のベッドタウンとして発展。人口は急増。サラリーマンの急増により税収は自然に増えた。ただ、少子高齢化時代を迎え人口は年々微減。支えてきたサラリーマン層もリタイアした現在は、主たる産業にも乏しい中、歳入は苦しい状況が続く。これは同町だけでなく、県内の多くの自治体が抱える課題である。

 財政健全化の方策として第1に考えられるのが経費の削減。早期健全化団体時に、御所市が補助金カット、上牧町がペガサスホールの休止などを行い、一定の成果を上げた。河合町も公共施設の存廃が検討されているが、住民サービスの低下は町民が納得できるプランでなければならない。

 4月の町長選で初当選した清原和人町長は「住民には辛抱をしてもらわないといけない面もあるだろう。しかし、暗い話だけにしたくはない」と話している。ブレーキ(経費削減)は必要だが、時にはアクセルも踏まなければならないだろう。

 同町は平成28年度から町街再生総合戦略に取り組んでいる。馬見丘陵公園を活用した活性化策などが盛り込まれている。同町は、近鉄の駅が3駅、西和地区唯一のシネコン、全国的に有名な私学の西大和学園があり、潜在的な町のポテンシャルは高い。ワースト2位から脱却し、将来を明るくするためには、行政、住民が一体となった真剣な取り組みが不可欠だ。 

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