国原譜

 「切り取れば分かるかもしれないが、所有者の許可がいるからねえ」。木製文化財に使われた木の伐採年を割り出す年輪年代測定で、研究者からそんな言葉を聞いたことがある。

 丸太の断面を見ると、中央の赤みがかった部分と周辺の白っぽい部分、樹皮と大きく3層に分かれることに気づく。

 測定が最も正確なのは3層が全て残った場合だが、どの部分が残っているかも年代の絞り込みを左右する。

 より正確なデータが得られると分かっていても、所有者の許可なく形状を変更することは許されない。探求心は遺物の保存が前提である。

 岩手県立博物館の学芸員が、保存処理を依頼された金属製の文化財を無断で切り取っていたことが明らかになった。保存方法を決めるためというから道理が逆転している。

 担当者に欠けていたのは文化財が国民の財産であるという意識と発掘担当者への感謝だろう。目の前の遺物が両者からの預かり物と思えば、無断破壊はなかったはずだ。その数は少なくとも60点に上るという。同様の被害は他の組織でも起きうるだけに、構造の解明が待たれる。(増)

 

▼ 記事の詳細は本紙をご覧ください

購読のお申し込み

ウェブ限定記事

よく読まれている記事

  • 富本憲吉入門
  • 興福寺中金堂再建記念 現代「阿修羅」展 図録
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • Tour guide tabloid COOL NARA
  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良クラブ試合情報

奈良新聞読者プレゼント

全日本総合エアロビック選手権大会のTシャツ

プレゼント写真
提供元:スズキ
当選者数:5人
  • 奈良マラソン
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • バナー広告のご案内
  • 奈良新聞シニアクラブ
  • 奈良新聞デジタル
  • ならリビング.com
  • 特選ホームページガイド
  • 奈良新聞社 採用情報
  • ならどっとFM78.4MHzのご紹介