金曜時評

変革の覚悟が必要 - 編集委員 松岡 智

 改元の祝賀騒ぎも落ち着きを見せてきた。新たな時代に寄せる期待は大きかったかもしれない。だが、ただ思うだけでは前の時代と何も変わらないことを、だれもが実感し始めていることだろう。

 県内の中小企業、小規模事業者を取り巻く環境もまたしかり。思うように労働力を確保できず、離職者を止められない状況が続いていることは企業、経済団体の関係者らの話や、各種機関の調査などからも知れる。労働力人口が減少していく中、じっとしていては働き手から選ばれる企業にはなれないことも、多くの経営トップが感じているに違いない。

 4月の働き方改革関連法の本格施行に合わせ、大企業は人材確保も視野に、労働時間の見直しなどの労働環境改善への方策を打ち出している。しわ寄せを受けやすい中小も、動きの素早い企業は仕事の効率化をはじめとする対応策を講じていたりする。

 県内でも先進例がある、残業減はもとより弾力的労働時間制度の導入、産休、育休後の復職や休暇取得のしやすさなど、職場環境の整備を図っている企業がある。

 また従業員や家族、取引先、顧客といった人々を「幸せにする経営」を実践しつつ業績も高め、社内での働きやすさのみならず周囲にも大きな信頼感を持たれる存在となる方向を目指す企業もある。

 さらには経済産業省が促進する健康経営を前提に、経営者と労働者が意識を一致させながら生産性を向上させるといった方策を採るところもある。

 こうした企業、同様の取り組みを行う企業は、労働者に自社への誇り、帰属意識を育む経営改善で、人材の確保、流失阻止で実績を上げたり、実現を可能にしている。

 前述のような方法が困難だとする企業には、仕事の進め方の見直し、効率化による省力(人)化、外国人や高齢者の労働力を求めるといった方法もあるだろう。いずれにせよ、人手不足に直面しながら動かずにいたり、現状を甘受していては、今後の社会状況を展望してみても厳しい状態の打破は難しいと言わざるを得ない。

 東京商工リサーチの調べでは、平成30年度の人手不足関連の全国の倒産件数は前年度比28・6%増の400件で、25年度の調査開始以来最多を記録。求人難の深刻さがうかがえる。企業を活性化、存続させるための人手確保にどのような姿勢で臨み、手立てを講じるか。すでに何らかの形で行動し、しようとしている企業も含め、トップの覚悟が問われている。

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