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金曜時評

リニアが開く令和 - 論説委員 松井 重宏

 第19回統一地方選は21日に市町村の選挙が投開票され、1カ月におよんだ全日程を終えた。今回は有権者の関心につながる期待も込め、啓発活動などで「平成最後」のフレーズが繰り返し使われたが、選挙で問われたのは次代の展望。その意味では「令和最初」を託す選挙だったと言える。

 新しい時代の県政に目を向けるとき、焦点となるのがリニア中央新幹線だ。遠い未来に描く夢の高速交通と感じる人もいるだろうが、早ければ令和19年にも全線開業―と聞けば一気に現実味が増す。それどころか奈良市付近とされる通過ルート、県内中間駅の位置決定はもはや喫緊の課題になりつつあり、令和の幕開けを担う荒井県政4期目に、その答えを求めたい。

 誘致活動は決して「イベント」ではないが、住民の関心度を高め、機運の盛り上げを図ることが計画推進の力強い後押しになることは、東京五輪や大阪・関西万博の例を見ても明らか。冷静な分析、判断をおざなりにした熱狂がもたらす弊害も先例から学びつつ、早期の「奈良市付近駅」の具体化を目指してほしい。

 同新幹線は3大都市圏を一体化、国際的な競争力を持った新たな広域大都市圏を形成すると期待され、国土交通省は東京一極集中の反省から、同大都市圏が生み出す経済、文化などさまざまな効果を全国に波及させるため、学識経験者らで構成する「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置。今月開かれた第20回会合で最終とりまとめ案が大筋了承された。

 荒井知事は今年1月、この検討委員会に出席して、奈良市付近駅を核とした地域振興策について取り組み姿勢を発表。提出した資料には同駅周辺の整備について、先端産業などが大規模に集積したまちづくりを示すとともに、早期の位置確定が必要と明記した。また同駅と関西国際空港を直結するリニア新支線、高速道路や在来鉄道との結節性向上の重要性も強調。同知事は、北陸新幹線を京都から延伸させてリニアの奈良市付近駅に接続、さらに関西国際空港まで結ぶ大構想も温める。

 これまでの検討委員会の議論では中間駅周辺について「爆発的で破壊的なイノベーションが起きる」「中間駅におけるインパクトの大きさは考えている以上に巨大」などの指摘も相次いだ。新しい時代を切り開くエネルギーに満ちた計画。それだけに県民こぞって注視するとともに、当該地域は一刻も早く身構えなければ。

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