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金曜時評

批判票にも謙虚に - 主筆 甘利 治夫

 県民の審判が下った。

 知事選は現職の荒井正吾氏が4選を果たし、令和時代のかじ取り役を託された。そして新顔と元職の7人を含む43人の新しい県議が誕生した。次の時代の県政を担っていくことになる。

 そこでまず荒井知事への注文だ。

 選挙での圧勝は、これまでの実績が支持され、評価されたことは間違いない。しかしながら過去3回の選挙と比較すれば得票率は初めて50%を切った。その批判票の重みを、しっかり受け止めてほしい。低かったとはいえ、投票をした半数以上の県民が対立候補の前参院議員の前川清成氏、そして医師の川島実氏に投じた。両氏がそれぞれ何を訴えたか、批判票にも謙虚に耳を傾けねばなるまい。なるほどと思ったらこれからの県政にどう生かしていくかだ。

 かつて全国知事会長も務めた故・奥田良三氏は8選という全国最多選知事として君臨した。多選については何度も指摘されてきたが、県民は大きな変化を望まなかったし、4選した荒井氏に、さらなる改革を推し進めてもらいたいと支持した。荒井氏は選挙戦で多くの夢を語り数々の約束した。それが単なる選挙向けでないことを示すためにも、必ず公約を履行してほしいし、監視していきたい。

 一方の県議選も現職組が圧倒的な強さを見せた。政党でみると、自民、国民民主、日本維新の会、公明の各党が公認(一部推薦)候補を全員当選させた。半面で初陣の立憲民主党は全敗し、議席増を狙った共産党も現職を落とすなど後退した。

 終わってみれば保守の堅調さが際立ったといえる。新人にしても引退した現職の後継候補として勝ち上がっている。隣大阪では今度も維新旋風が巻き起こり、その勢いは奈良でも示された格好だ。

 そこで自民党だ。初当選した保守系無所属組議員を加えれば過半数の22議席が見込まれる。この4年間、3分裂していた自民党が、今度こそ会派の一本化が求められよう。そのために誰が汗を流すか。7月には参院選を控えている。党内論議はいくらでも進めたらいい。分裂状態のままでは党を支持した県民に説明がつかない。

 今は、統一地方選の前半戦を終えたところだ。14日には生駒市や大和高田市などの市長選をはじめとした市議選がスタートし、町村の首長、議員選も続く。身近な選挙だけに、有権者の関心も高い。そして各党の勢力図にも注目していきたい。

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