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国原譜

「これ、本当に鋳物ですか」―。唐招提寺…

 「これ、本当に鋳物ですか」―。唐招提寺西方院の五輪塔から出土した銅製の蔵骨器を初めて見た伝統工芸高岡銅器振興協同組合(富山県高岡市)の梶原壽治理事長は、顔色を変えた。

 蔵骨器は鎌倉時代の高僧・證玄とその弟子の遺骨を納めた品。数々の金属製文化財の複製に取り組んできた梶原理事長も、技術の高さに驚きを隠せなかった。

 注目すべきはその薄さだ。薄く鋳造することは非常に難しく、現代の品でも通常3ミリ程度あるが1・2から1・8ミリしかなかった。

 板材を合わせた跡はなく、鋳造して「ロクロ加工」と呼ばれる方法で薄くしたとみられる。梶原理事長は「鎌倉期の職人はとんでもない技術集団」と舌を巻く。

 しかし、現代の職人たちは「鎌倉の粋(すい)」を集めた品とほとんど変わらない複製品を作り上げた。それを可能にしたのは職人たちの技とともに、精密な三次元立体計測をはじめとする最新技術だ。

 蔵骨器の複製品は證玄らの遺骨を納めて五輪塔の下に埋納された。今度は「平成の粋」を集めた品が、未来の人々の顔色を変えるだろう。(法)

 

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