知事選が告示され、統一地方選が幕を開けた。これから1カ月、県内でも今後の県、地域の方向性を選択する重要な時期となる。

　平成28年に選挙権年齢が18歳に引き下げられてからは初の統一選。若年層がどう選挙に臨むのかも気になるところだ。

　昨年復刻された「民主主義」(KADOKAWA)。元々戦後ほどなく文部省(当時)が中学、高校生向けの教科書として著したものらしい。

　まだ占領下だった影響を差し引いても、現代に通ずる部分もある。「選挙権」の章では、平等に選挙権が行使可能になった歴史、選挙権の意義などが語られる。

　当時も無関心層は少なくなかったようで、典型例が示される。知識、能力はあるのに政治を見下ろし、結果が出た後に嘆く人、政治は難しく縁遠いものと思い、自分の人生への影響に気付かない人。時は変われどだ。

　一方で選挙権を生かす大切さを「多くの人々の幸福を思う愛情の問題」とする。自身の1票が県や地域を大きく動かすものだと考え、選挙権を大事にしたい。同時に立候補者には、有権者の判断材料となる政策論争を望みたい。(智)