アポ電。何か軽妙な印象すらある造語だが、その言葉の裏に凶暴な犯罪が潜んでいる。アポ電詐欺から強盗、さらに殺人へ欲と悪意が増幅する。

　狙われるのは主に高齢者ら。調査を装った電話で資産状況などを聞いて対象を絞り込む。それがアポイントメント電話、いわば犯行の予約電話だ。

　思惑に気付かず生真面目に答えて隙を見せると、今度は言葉巧みに現金の振り込みを指示されたり、カード類を渡すよう求められたり、自宅に大金があるなどと知られれば押し込みにも遭う。

　そんな物騒な電話に対処できるよう導入しておきたいのが自動通話録音機。犯罪者に音声が証拠として残ることを知らせて警告、撃退してくれる。

　あおり運転による被害を防ぐため、ドライブレコーダーを搭載していることをアピールするのと同じ。空き巣対策もいまどきは猛犬を飼うより防犯カメラを目立つ場所に設置するのが効果的。

　人を見たら泥棒、電話が鳴ったら詐欺と思え―とは嫌な時代になったものだが、機械頼みだけでなく、万一の時に相談できる人づきあいを育てておくことも忘れたくない。(松)