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金曜時評

奈良観光、新時代へ - 編集委員 辻 恵介

 きょうから3月だが、今月16日のJR西日本のダイヤ改正は、奈良にとって大きな変化をもたらす2つの要素がある。

 まず、JRおおさか東線の放出―新大阪間が開業し、奈良と新大阪が直結する。JRの奈良駅から、一日4往復(朝夕のみ)する関西線(大和路線)の「直通快速」に乗った場合、久宝寺からおおさか東線に入り、放出経由で新大阪まで「乗り換えなし」で、約1時間で行けるようになる。

 従来は新大阪から新幹線に乗車の場合、JRの奈良からだと、大阪でJR東海道線(京都線)に乗り換えるルート、天王寺で大阪メトロ(地下鉄)の御堂筋線に乗り換えて新大阪へ―といったルートが考えられた。今回の直結は、特に子ども連れや高齢者にとってはありがたい。朝の早いビジネスマンにとっても朗報だ。

 しかも、おおさか東線は生駒からだと大阪メトロ中央線に乗れば高井田で、近鉄奈良線なら河内永和で、また近鉄大阪線なら俊徳道でJRに接続しており、普段JRを利用しない県民にとっても便利になる。

 新大阪―奈良間では、平成22年の「平城遷都1300年祭」の折に「特急まほろば」という臨時列車が走ったことがあるが、3か月で終了。今回は常時、直通ということで、観光客の奈良への入り方が大きく変わってくることが予想される。

 特に、九州や中国・四国地方といった西日本から訪れる観光客のメリットは大きく、新大阪で新幹線から乗り換えるだけで奈良に入れることになる。周遊のルートも、従来とは様変わりしそうだ。

 一方、桜井線(万葉まほろば線)・和歌山線には、新型車両「227系」がデビューする。現在走っている青色の車両は、秋ごろまでに随時入れ替わるという。

 新型車両は、乗客がドア横のボタンを押してドアの開閉をすることが可能だ。トイレもバリアフリー対応に。現在は五条―和歌山間では使用できないICカード乗車券(イコカ)が、来年春には「車載型IC改札機」の使用で、利用可能になる。

 227系は近畿では初の投入で、安全性や快適性が飛躍的に改良されている。通勤・通学客、観光客にも歓迎されるだろう。

 新しい元号とともに、奈良観光の新時代が始まる。交通アクセスの向上や新型車両の登場という、またとない奈良にとってのプラス面を大いに活用し、国内外からの観光客増加につながる方策を官民挙げて考えていくべきだろう。

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