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国原譜

戦後の古代史研究をリードしてきた歴史学…

 戦後の古代史研究をリードしてきた歴史学者の直木孝次郎さんが2日、奈良市内の病院で亡くなった。秋篠川のほとりに長く居を構え、奈良を愛した人だった。

 戦前の古事記や日本書紀に偏った古代史観に疑問を持ち、実証を重視した研究で古代国家の成り立ちを論考。古墳時代に河内平野の勢力が初期ヤマト王権を打倒したという「河内政権論」を唱え、大きな話題を呼んだ。

 遺跡の保存運動にも尽力。難波宮跡(大阪市)のほか、県内でも平城宮跡(奈良市)や飛鳥池遺跡(明日香村)の保存運動に関わった。

 100歳の長寿で、驚くほど多くの著書も残した。特に「直木孝次郎 古代を語る」(吉川弘文館)は、80歳を超えてから取り組んだ全14巻の大作だ。

 個人的には中公文庫の「日本の歴史(2)古代国家の成立」が印象深い著書。10年ほど前に橿原を担当する時、先輩に薦められた本で筆者の古代史の教科書だった。

 8日には作家の堺屋太一さんも死去。分野や立場も全く違うが、関西を拠点とした2人の論客が同じ時期に彼岸へ旅立った。一つの時代が終わった。(法)

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