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国原譜

奈良市の薬師寺で東塔の水煙が新たに完成…

 奈良市の薬師寺で東塔の水煙が新たに完成し、現役で相輪を飾ってきた白鳳期の水煙と世代交代する。来年解体修理を終える東塔には、「平成の水煙」が上がる。

 東塔の水煙は高さ約1・9メートル。4枚の銅板を組んで造られており、おのおの透かし彫りされた3体の飛天が雲中を舞う。2枚1対で組み合わせると笛を構えた飛天が中心で向き合い、流れるような衣の表現など、美術的にも白眉とされる。

 思えば平成の修理で降ろされた水煙は、1300年にわたって薬師寺を見守り続けてきた。平城京に輝く大伽藍(がらん)、平安時代の大火、康安元(1361)年の大地震、台風、兵火。もろもろの原因で創建当初の建物は東塔だけが残る。

 文化財の歴史は修理の歴史でもある。奈良時代の建物や工芸品も、時代時代に修理を重ねて現在の姿がある。

 東塔の水煙は戦後間もなく本格的に修理され、約70カ所でひびを埋めたり欠けた部分を補うなどされたという。

 それから約70年。地上に降ろされた水煙は、薬師寺が重ねた歳月の重みと白鳳の美を、拝観者に語り続けることだろう。(増)

 

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