金曜時評

まなざしを異国に - 編集委員 松岡 智

 自社の技術や製品をどこに、どういった方法で提供するかは事業者にとって尽きない課題だ。県内事業者も地域にとどまらず展示会や商談会を通じて事業、販路の拡大を図るなど知恵を絞っていることだろう。

 新たな国際経済協定も発効される中、海外に道を求める方法もある。大阪税関の近畿2府4県の昨年の貿易概況(速報値)では、貿易収支は4年連続の黒字。輸出額は過去最高だった。海外展開に実績を残す県内事業者もいるが、まだ途上の様相。だが、海外進出への県内環境も整いつつある。

 昨年11月、ようやく日本貿易振興機構(ジェトロ)の県内拠点として貿易情報センターが奈良市に開設された。スタート以来動きは活発で、相談業務をはじめ各種セミナーも次々に行われている。国内外に広いネットワークを持ち、中小企業の海外展開支援でも老舗といえる存在だけに、相談相手が近くにいることは心強い。

 よく知られた機関の取り組みでは、国際協力機構(JICA)の民間連携事業もある。発展途上国の経済、社会課題の解決を民間企業の技術、製品などで図ろうとするもので、近年本格化。途上国の生活基盤向上、発展に貢献する一方、企業側には拡大する途上国市場での事業展開の足掛かりともなる。単に途上国を支援、援助する内容ではなく、双方に利点のある「ウィンウィン」の関係が特徴となっている。

 農業や保健医療の分野で、すでにこの事業を活用している県内事業者も見られるが、近畿の他の府県と比べても少数にとどまっている。ただ海外展開を視野に入れる事業者には検討すべき魅力がある。

 こうした事業を実現する上で不可欠なのが、手持ちの技術、製品などを通して自社の強みをあらためて知ることだ。唯一無二のものを持つなら何よりだが、全体の中の一部が他社より抜きん出るだけで内容次第で海外ニーズにかなう場合もなくはない。

 それらを客観的に分析する力が不足しているなら、海外事情に通ずる前述の機関などの専門家の助言を求める方法もある。海外の状況が刻々と変化していく中で、自社の技術、製品が時代に適合していることに気付かぬことも考えられるからだ。

 新たな事業展開には常に一定のリスクが伴う。だが半面、とりわけ県内に多い中小、小規模事業者にとっては、正しい見極めの上での取引経路拡大が事業継続で優位に働く可能性も否定できない。海外へ視野を広げることは、選択肢の一つになり得る。

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