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国原譜

青々としていた山肌が一夜にして黒くなり、…

 青々としていた山肌が一夜にして黒くなり、その日を忘れていても「山焼きだったか」と思い出す。若草山焼きは戦後間もない昭和25年から1月15日に行われるようになったようだが、近年は1月の第4土曜に固定され、毎年この時期にカレンダーを繰る。

 今年の山焼きはあす26日。天気予報では雪マークも出ていて冬らしい日になりそうだ。雪が舞うなら芝生が湿らない程度であってほしい。

 若草山の山頂に、鶯塚(うぐいすづか)と呼ばれる古墳がある。国史跡の前方後円墳で、墳丘斜面には葺(ふ)き石も見え、埴輪(はにわ)も採取されている。

 この古墳、一説には東大寺の用材を引いた牛の供養墓といわれ、「牛ケ墓」とも呼ばれてきた。山焼きは鶯塚古墳の慰霊を起源とする説がある。

 山焼きのガイドブックによると、この塚から幽霊が出るという迷信が続き、人々が恐れて勝手に火をつけるので、奈良奉行所が立ち会って山を焼くようになったという。

 盛大な花火も上がってロマンチックな山焼きだが、幽霊伝説を頭の片隅に眺めれば、いつもと違う炎が見えるかもしれない。(増)

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