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国原譜

国の天然記念物に指定されている奈良公園…

 国の天然記念物に指定されている奈良公園の鹿を交通事故から守ろうと、県が一部の道路沿いに飛び出し防止の柵を設置した。事故多発地帯を選んだ実験的な措置で、来年2月まで設置して効果を検証するという。

 本紙に掲載された柵の写真を見て、明治初期に出された観光案内マップ「ならめい志よゑづ」を思い出した。

 飛火野の辺りに鹿が集められ、周囲は柵で囲まれている。同じ飛び出し防止でも狙いは全く逆で、この時の柵は鹿を害獣とみなして閉じこめるためだった。

 設置を命じたのは県令(県長官)の四条隆平。捉えた鹿をすき焼きにした、鹿に馬車を引かせたなど、数々の悪名が残る執政者だ。奈良の鹿は激減し、保護団体の発足につながった。

 今回の柵は高さ約80センチで、鹿なら容易に飛び越えられる。それが良いそうで、高過ぎると道路に鹿が滞留して余計に危険なのだという。

 人の都合で難を受けたり守られたり。鹿にとっては迷惑な話かもしれないが、それも奈良の歴史の一つ。野生鹿との共生を目指す取り組みは、これからも新たな歴史を刻んでいく。(増)

 

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