平成最後のクリスマスが過ぎ去った。にぎわいの中、家人への買い物で大阪・ミナミへ久方振りに出向いた。

　知ってはいたが、主要商店街ではブランド店に混じり薬局チェーン店が多数出店している様子を確認。現景気を支える訪日客の需要に沿った光景だが、以前を知る者には違和感が残りもした。

　目当ての店では店員の精力的な接客に触れた。系列店が県内にもあるが、客への情報量の豊富さ、伝え方の工夫は商売の激戦地ならではと感じた。

　若者が集まる地域の中心地の商業ビルには、ピンボールだけを数十台置く遊技場ができていた。デジタル隆盛期の懐古趣向の意図は判然としないが、観光客らは盛んに記念撮影をしていた。

　他にも上向き経済の中での商都の姿の一端を見聞した。同時に、物事をきちんと捉えるには現場に足を運び、周辺状況も含めて五感ですくい取ることが必要だとあらためて自覚した。

　技術革新で現場へ行かずとも一定の鮮明で詳細な映像での情報を得られる時代ではある。だが、われわれの商売の原点も思い起こした、平成最後の年の暮れでもあった。(智)