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国原譜

東大寺や唐招提寺など、日本が世界に誇る…

 東大寺や唐招提寺など、日本が世界に誇る建造物の修理で瓦工事を手掛けた山本清一さんが亡くなった。落ち着いた物腰が親方を感じさせる人だった。

 唐招提寺金堂の屋根を飾る「平成の鴟尾(しび)」は、山本さんが若い職人も交えて手掛けたものだ。中が空洞で尾を高く持ち上げる鴟尾は制作に高い技術が必要とされる。

 「100個造っても10個残るかどうか。無傷なものは1割もないと覚悟を決めた」。山本さんは完成後の取材でそう振り返った。

 土には硬さの異なる男土と女土(めんつち)があり、うまく合わせて使わねばならない。作業場では表面が乾いてしまわないよう、夜通し湯を沸かして湿度を管理したという。

 奇跡的に三つの鴟尾が誕生し、二つが唐招提寺に納品された。「完成した鴟尾は最善のたまもの。千年はもつでしょう」。除幕の綱を引く山本さんの顔は晴れやかだった。

 山本さんには持論があった。「文化財で一番大切なのは人を育てること」。現場は職人の「学校」でもある。唐招提寺で育った多くの職人が、山本さんの技と心を受け継いでいくだろう。(増)

 

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