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国原譜

現在では博物館や美術館での仏像鑑賞は珍し…

 現在では博物館や美術館での仏像鑑賞は珍しくない。しかし、美術品としての仏像鑑賞の歴史は意外に新しく、明治時代以後だ。

 近代仏教研究者の碧海寿広さんの著書「仏像と日本人―宗教と美の近現代」(中公新書)によると、そのきっかけは明治初期の廃仏毀釈(きしゃく)。各地の寺院から多くの宝物が海外に散失し、文化財保護の意識が生まれた。

 文化財保護に取り組み、「美術」という西洋の概念を日本に広めたのが米国人美術史家アーネスト・フェノロサだ。奈良や京都の仏像などを調査し美術品として価値を与えた。

 同時に仏像を信仰の対象とする人たちとの軋轢(あつれき)も生んだ。絶対秘仏の法隆寺夢殿救世観音をフェノロサらが半ば強引に開扉させた事は有名な話だ。

 ただ、碧海さんによると、仏教徒のフェノロサは宗教を軽視したわけではない。非科学的な事は信じず、内省的な信仰や道徳的な実践を重視した結果だという。

 活用に重きを置く来年4月の文化財保護法改正により、美術と信仰の軋轢は増えるかもしれない。両者の立場を踏まえた冷静な判断が必要だ(法)

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