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金曜時評

ポスト争いに批判 - 編集委員 松井 重宏

 県議会は今、正常に機能しているのだろうか。6月定例会は今月3日、議案審議を終えて予定通り閉会したが、注目された県立高校適正化実施計画案に関する議論や正副議長など役員改選をめぐる議員間の駆け引きに、有権者から批判の声が上がる。

 この間、議会運営を分かりにくくしてきたのが最大勢力、自民党の分裂。衆院選が中選挙区で行われていた当時から続く党内の対立に端を発するともされるが、大所帯につきものの主導権争いは絶えず新たな反目やあつれきを生みつつ続いており、一本化の動きに実効性は乏しい。

 そこにキャスティングボードを握ろうとする第三勢力が加わる。いわゆる保革合同会派に位置づけられる「創生奈良」が代表格といえ、同会派から今回、川口正志氏が議長に選出された。

 投票では分裂している自民党勢力のうち第2会派の自民党奈良と創生奈良、日本維新の会、自民党絆の4会派が組んで21票を確保、正副議長を独占した。県議選で顔ぶれが改まった平成27年以来続く枠組みだが、政策論や大義名分は聞こえてこず、あくまでポスト獲得が目的の連携が自民分裂の弊害を助長している。

 川口氏は、反自民ではなく非自民の立場で強い影響力を発揮してきた県議会10期目の長老。自民党奈良で議長を務めた岩田国夫氏や中村昭氏とは以前、同じ会派に所属していた人脈もあり、平成20年には今回と違う自民党の主流派と組んで初めて議長に就き、その後は第2会派などとの連携に乗り換えてポストを獲得。近年では最多となる3度目の議長に就任した。

 過疎化や少子高齢化で人口減に苦しむ小規模自治体を支援する「奈良モデル」の推進が求められる中、県と市町村を結ぶ県議の役割は今後さらに増していく。旧態依然とした政治力に頼った人事や議会運営は排除するべきだが、発足した川口議長、奥山副議長体制に期待できるか。

 また今月2日に閲覧が始まった平成29年度の政務活動費収支報告書によると、交付辞退を含め、政活費全額を返還する議員が初めて現われ、その人数は川口氏ら5人に上った。交付を受けなければ不適正支出はなくなるとして、制度自体の廃止を求める動きも出ているが、どんな政務活動に取り組んだのかも見えなくなる。政活費を使わないからといって、何もせず1年間を過ごす議員はいないだがろが、透明度の高い政治活動を望む方向とは違う。

 

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