特集奈良ラーメン探検隊活動中!

金曜時評

県会の威信を問う - 編集委員 松井 重宏

 県議会議長と元暴力団組長の交際疑惑が発覚して3週間。同議長の政治家としての資質が厳しく問われるとともに、議長を選出した会派や議員、また政党の対応を質す声も強い。改めて議会全体に対して、県民の視線が注がれている。

 地方自治法は、議長任期を4年とするが県議会は多くの市町村議会と同様、慣例で1年ごとに改選を行っている。以前は特定の議員が再選を繰り返し、長期にわたって議長を務めるケースがあったものの、平成5年以降は解消された。

 ただ議会役員の1年交代は、ポストの固定化による弊害をなくし、役割を担う機会を多くの議員に与える利点がある一方、党派間の勢力争いを助長、結果として勢力内の論功行賞、順送り人事が優先され、議長職の形骸化や資質の低下を招く懸念も。果たして県議会の実態はどうなのか。

 議長は、議場の秩序を保ち、議事を統括するなど議会運営の実務でリーダーシップを取るのと併せ、議会の代表者としての役割も担う。そうした“県政の顔”としての自覚と資質を備え、県民の期待に応えられる人材でなければならないし、本人はもちろん、議会全体も選出責任を負う。

 同議会では一昨年、政務活動費の支出をめぐる不正で元議長が議員辞職する不祥事が発生。他にも問題の指摘が相次いだことを受けて議会は、制度改善に取り組んでいるが、市民団体からは「不正はなくならない」として、政活費を廃止する条例制定を求める直接請求が提起された。

 政務活動費は文字通り、議員が議員として仕事をするための必要経費。その廃止を求めるのは、議会に「自浄能力なし」の烙印(らくいん)が押されるのも同然。現在、条例案提出に必要な署名集めが行われているが、どれほどの県民が「烙印」を押すのか注目される。

 そして今回の問題。有権者の付託を受けた政治家が、暴力団関係者と交際を持つことは強く非難されるべき。議会は、県暴力団排除条例が広く県民に呼び掛ける暴力団を「利用しない」「恐れない」「資金を提供しない」「交際しない」ことを、より厳格に守る姿勢を示さないと。

 正副議長を含む役員改選が行われるのは通例、6月定例県会の最終日。それまで現体制が続くのか。県議会は来春の統一地方選で改選されるが、このままでは県民に信を問う前に、県民の側から「鼎(かなえ)の軽重」を問われかねない。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド