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金曜時評

問われる説明責任 - 論説委員 増山 和樹

 女性記者へのセクハラ疑惑が報じられた財務省の福田淳一財務事務次官が辞任した。福田氏はセクハラを認めたわけではないが、「このような報道が出てしまったこと自体が不徳の致すところ」と語ったように、身を律して職務に当たるべき立場にある者として、辞意は当然である。

 疑惑の行為は資質の問題としても、この問題に対する財務省の対応は、とても国民の理解を得られるものではない。被害者である女性記者に名乗り出るよう求めたばかりでなく、トップの麻生太郎大臣は24日の記者会見でも「はめられ訴えられているんじゃないかとか、いろいろなご意見は世の中にいっぱいある」と発言する始末である。

 森友問題で佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任してから1カ月余りしかたっていない。財務省の事務トップ2人が相次いで辞任に追い込まれる異常事態だ。福田氏は辞任の理由を「職責を果たすことが困難」としたが、責任と信頼という視点に立てば、麻生氏自身も職責を果たすことは困難だろう。

 身近な行政で考えても、番頭格の職員2人が不祥事で辞めていながら、首長が何の責任も取らないケースはちょっと考えにくい。議会がそれを許すまい。議会を動かしているのは民意である。中央政界でその常識が通用しないのであれば、自民1強のおごりと言われてもやむを得まい。

 公明党の山口那津男代表は、福田氏のセクハラ疑惑に対する財務省側の対応について、「民意を恐れよ」と党会合で発言したという。自民党の中では衆院解散の声も出たが、解散は疑惑を消し去るリセットボタンではない。民意をなめてはいけない。

 県内に目を転じれば、県議会議長の「黒い交際疑惑」である。本紙は取材で、岩田国夫議長が就任当時、暴力団の元組長と面談していたことをつかんだ。岩田氏は「記憶にない」としているが、事実はどうなのか。公職にある以上、あるまじき行為の疑いが掛かれば、会見を開くなどして自ら語ることが重要だ。疑惑が真実であったなら、その行為の責任を取らねばならない。

 森友問題も加計問題も、疑惑が疑惑のままでは民意は納得しない。岩田氏の「黒い交際疑惑」も同様だ。地元の天理市でも説明責任との声が出ている。

 県議会のホームページに掲載された岩田氏のあいさつには「二元代表制の一翼を担う議会の代表者」とある。議長の職責はそれほど重い。民意の代弁者である県議会の対応が注目される。

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