注目記事山下県政 世論調査の全結果掲載

国原譜

藤原頼長は平安末の左大臣。当代髄一の学…

 藤原頼長は平安末の左大臣。当代髄一の学識者だったが、妥協を許さない苛烈な性格で「悪左府」と呼ばれた。そのため朝廷内で孤立し、保元の乱で敗死する。

 頼長には悪左府のイメージにそぐわない別の顔もあった。大の猫好きだった。頼長の日記「台記」には、千手観音像を描いて愛猫の病気平癒を願う記述が残る。

 春日大社の金地螺鈿(らでん)毛抜形太刀(国宝、12世紀)は金具に高価な純金を使い、鞘(さや)には竹林で猫が雀を追う装飾を施す。猫の図柄は中国・北宋時代に流行したが、当時の日本では珍しい。

 純金を惜しげもなく使う財力と中国の深い教養を持ち、人とは違っても自分の思い通りに行動する。そして、猫好き。太刀の由来は不明だが、奉納者像は頼長と合致する。

 奉納前には頼長自身が帯刀していた可能性もある。猫の太刀を自慢する悪左府の姿を想像するとほほ笑ましい。

 奈良国立博物館の「国宝春日大社のすべて」では現物とともに螺鈿の人間国宝・北村昭斎さんらによる復元模造品も展示(5月13日まで)。かわいい猫たちも再現されている(法)

 

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