金曜時評

言葉の重み心せよ - 編集委員 増山 和樹

 自民党代議士の無神経な発言が止まらない。15日には東京16区選出の大西英男衆院議員が、党厚生労働部会でがん患者の勤労権を否定するようなやじを飛ばし、22日に謝罪した。基本的に人は働かなければ食べていけない。「働かなくていい」とはどういう了見か。大西氏は「喫煙可能な店でのこと」と釈明したが、発言は病と闘いながら働く多くの尊厳を傷つけた。

 この日の党厚生労働部会では、受動喫煙防止を強化する健康増進法の改正案が議論されていた。そもそもやじを飛ばすような場ではなかったはずだ。議題に向き合う大西氏の姿勢は推して知るべしである。

 山本幸三地方創生担当相が観光振興を語る中で飛び出した「一番のがんは文化学芸員」などの発言も記憶に新しい。山本氏は発言を撤回して謝罪したが、学芸員の多くは今も反発を感じているだろう。

 山本氏の発言には二重の意味で問題があった。一つは誤った認識に基づき学芸員を批判したこと、もう一つは「がん」である。悪質なもの、障害となるものをがんとする例えは日常社会で用いられる。しかし、その病と闘う人にとって、決して優しい言葉ではない。もし当人を前にしたなら、別の表現に言い換えるだろう。国務大臣が講演で用いる言葉としては、極めて不適切で配慮に欠ける。

 同じ4月には、復興相だった今村雅弘氏の「あっちの方でよかった」発言もあった。東日本大震災が東北でよかった。首都圏なら甚大な被害があったとする趣旨で、当然ながら被災地の怒りを買った。今村氏は翌日辞任したが、任命した安倍晋三首相による事実上の更迭といえる。

 政治家にとって、言葉は極めて重いものだ。SNS含め、有権者はその言葉で人物と政策を判断し、意志を示す。相次ぐ問題発言は、自民党による1強政治の中で、言葉が軽くなっている証しだろう。それが慢心や緩みからくるものなら、党全体を締め直す必要がある。

 奈良市長選の告示まで1カ月余り。自民党は今なお独自候補を立てられないでいる。市議団と党県連のねじれも取り沙汰され、党支持者の不満は高まるばかりだ。傲慢(ごうまん)とも取れる中央の政権運営を見る限り、市長選も順風とは言えまい。現職など立候補を表明した2人は既に走り出している。独自候補擁立にこぎ着けたなら、生半可な言葉では有権者の心に響かないと覚悟すべきだ。 

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