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金曜時評

自民の責任も問う - 主筆 甘利 治夫

 今年のサクラの開花宣言は遅れに遅れたが、県内各地のサクラは競うようにして咲き急ぎ、遅れを取り戻そうとしているかのようだ。一方、3カ月後に迫った奈良市長選は待てど暮らせど、いまだに1人の立候補表明もなく、市民もしびれをきらしている。サクラのように待たせておいて「あっ」と驚かせるつもりなのか。

 4年前の前回選挙は、7人が立ち、再選挙の可能性まで取りざたされた。いずれも選挙経験のある有力候補が“乱立”した。このため現職がわずか32%の得票率で逃げ切った。2、3位の自民系候補は合わせて36%を獲得していた。他の保守系候補の得票を加えれば53%と過半数を超えていたが、得票は分散してしまい、3割の支持であっても1位は1位で仲川元庸市長が現職の強みをみせた。

 7割近い批判票があったことから、この4年間の市政運営は厳しいものだった。揺れ続ける新斎苑(火葬場)問題だけでなく、昨年に続き今年も新年度予算案が委員会否決され、結果的に修正せざるを得なかった。安定さを欠いたままで、また選挙の季節を迎えた。水面下の動きが聞こえてくるが、思惑が先行してきわめて流動的な情勢だ。

 まず現職の仲川市長の態度表明がなく、混迷に拍車をかけている。8年前の政権交代直前の民主党(現民進党)旋風の中で、同党が無名新人・仲川氏を擁立して当選した。その仲川氏と同党との距離は、先の3月議会で予算案の否決という関係になっている。さらには一昨年の知事選に出馬した前生駒市長の山下真氏が同党に急接近との情報も伝えられ、複雑さを増している。

 それだけに前回選挙で、ぶざまさをみせつけた自民党はどうか。政権党でありながら、いまだに候補者の擁立もできない。党所属の市議をはじめ関係者が候補者探しに汗を流していると聞く。

 今月5日の1区支部(小林茂樹支部長)の会合で、人選に向けて論議された模様だが、公式には「検討中」と先送りされた。自民党は県内の市長選で推薦候補などが連敗続きなだけに、県都決戦に県連(奥野信亮会長)の威信をかけて取り組まねばなるまい。市支部長の荻田義雄県議は県連総務会長の要職にある。その荻田氏の姿勢が「後ろ向きではないか」との声が出始めている。対決姿勢が見られない。まさか「候補者つぶし」などあるまいが、政権党としての矜持(きょうじ)をみせ、党の責任で候補を立て、堂々と選挙戦に臨んでほしい。

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