金曜時評

子供の未来に夢を - 編集委員 松岡 智

 県の平成29年度当初予算案が発表された。一般会計の総額は前年度比3・5%減で、新規事業も88件減。荒井正吾知事が「端境期」と表現する落ち着いた内容となった。そんな中、少子化対策や子育てなど、県や国の将来を担う子供を取り巻く環境の改善に向けては、継続、新規事業ともに一定の力の入れようがうかがえる。

 児童虐待に対しては、県内での死亡事件や法改正を踏まえ、県のこども家庭相談センター(児童相談所など)に、初めて専門職の児童福祉司7人程度を職員として採用予定。「0歳0日」の子供の死を防ぐため、望まない妊娠への相談対応力を高めるなど、全般的な体制整備が図られる。

 経済的に恵まれない子供への対応を含む居場所づくりでは、子供に無料、安価で食事を提供する「子ども食堂」の開設、運営への補助を新たに予算化。地域で子供を見守り、支え、育てる活動を支援する。

 また、保育所などでの重大事故防止の研修と巡回指導支援員配置や、医療的ケア児の保育受け入れ体制整備を行う市町村への補助も新たに盛り込んだ。

 さらに、女性が働きやすい環境づくりの側面を併せ持つ内容ながら、待機児童解消に向け、企業主導型保育事業での利用者負担軽減の補助を全国に先駆けて導入。0歳児を持つ父母への対応や、父親の育児参画推進なども新事業として提示されている。

 もっとも、それぞれの予算額は大きいものばかりではない。差し迫った課題への対応としては弱いのではないかと、厳しい見方をする人がいるかもしれない。だが、種をまかねば花は咲かない。すぐには成否の見えにくい取り組みもあるが、予算額は積極性の中での慎重さと捉えたい。

 それら施策の展開の中心は、日常的に互いの顔が見えやすい地域単位となるだろう。地域レベルの子育て支援機能の充実には、以前から地域子育て支援拠点事業がある。平成27年度の厚生労働省の同事業実施状況集計では、県内の活動拠点は71カ所で、0~2歳人口1千人当たり2・21カ所は全国平均をやや超えている。今後は、新たな施策を通して市町村、地域との連携を深め、すそ野を広げることが求められよう。

 県の子育て支援担当職員は、予算案での施策を「子供の命を守り、子供たちが将来の夢を描けるためのもの」と語った。理想論を言えば、子供の命の尊さと未来への機会は平等であってほしい。県の取り組みのこれからを、期待を込めつつ注目したい。

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