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金曜時評

安全性に強い不安 - 編集委員 辻 恵介

 北の国からの賓客、安倍首相が待ち望んだプーチン大統領の来日を前に、13日夜に起きた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機MV22オスプレイの不時着、大破の事故。日本国内でのオスプレイの重大事故は初めてで、当然のことながら、配備要請を受けている関係自治体をはじめ、国民の間に動揺が広がった。

 事故の翌14日、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は記者会見し「沖縄の人々に謝罪する」と述べた。極めて異例の会見だったといい、日米両政府が国内に広がる不安や批判の“火消し”に躍起になっている様子が伺われる。

 パイロットが浅瀬を選んで不時着したというのは当然の判断で、もし陸上であったなら…と考えるだけで恐ろしい。別のオスプレイが、同じ夜に普天間飛行場で胴体着陸をしたことも明らかになった。

 オスプレイの話が、国内で話題になりはじめたころ、あるテレビ番組のインタビューで、操縦経験のある米軍パイロットが「操縦には極めて高度な技術を要する」という話をしていたことが、昨日のことのように思い出され、頭から消えない。

 開発段階から事故が相次ぎ、安全性を懸念する声は、ずっと出ていた。米軍は今回も「技術的な問題、人為的なミス」としたいようだが、それで片づけてしまっていいのか。“製品”としての欠陥ではないと言えるのか、疑問がつきまとう。

 オスプレイは開発段階からトラブルが相次いでいて、1991~2000年に起きた4回の墜落事故で30人が死亡している。量産決定後の12年4月にも、モロッコでの演習中の墜落事故で死傷者が出ている。

 日本には12年7月、岩国基地に12機が搬入、同年10月から普天間配備が始まり、現在24機が配備中。陸上自衛隊はオスプレイ17機を導入、2019年度から佐賀空港に順次配備する計画があるという。遠い九州のことながら、毎日不安げに空を見上げるなど、たまったものではない。

 県内でも1987(昭和62)年8月と1991(平成3)年10月に十津川村で米軍機が、木材搬出用ワイヤを切断した事件があった。大きな抗議の声が各方面から上がった、県民にとって忘れられない出来事だ。状況は全く違うが、空の安全、県民の安全な暮らしは等しく守られるべきだ。

 事故は空中給油の訓練中に機体が「不安定」になったからというが、何やら今後の日米関係を暗示しているようで…。

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