金曜時評

県内の消費拡大を - 編集委員 松井 重宏

 地方消費税の配分で、大都市の周辺地域が不利益を被る現在の清算基準について見直しを求めていた県の努力が、実を結びそうだ。国に提案していた人口基準の割合引き上げが、平成29年度税制改正大綱に盛り込まれる見通し。ただ並行して進める、消費の県外流出を食い止める施策については成果がまだ十分に見えてこない。

 今月は、県の「県内消費拡大月間」に指定されており、各地の大規模店や主要駅前などで県民に地元で買い物をするよう呼び掛けるイベントが行われているものの、広報活動が上旬に集中、月間というわりには期間、規模とももの足りない印象を受けるのは残念だ。

 平成26年全国消費実態調査によると、県内世帯(2人以上の世帯)の平均消費支出は1カ月30万2206円で、前回調査(21年)の全国3位より後退したものの、同11位と引き続き上位を維持。県民の消費は比較的高い状態が続いている。ただし買い物をする場所は「他の府県」とする割合が15%以上に達し、全国トップ。急増するインターネット通販の利用も県内消費の減少に拍車を掛けているという。

 こうした県民の消費行動の特徴が、地域の商業振興に影を落とし、財源となる地方消費税の県外流出も招いている。

 消費税は小売業者や製造業者が所在地の税務署に納めるが、実際に税金を払うのは消費者。だから税収は製造、流通過程の都道府県ではなく、最終消費地に帰属するよう調整する必要がある。ところが都道府県間で地方消費税を配分する清算基準で、県外流出分の是正につながる人口割合を基にした「人口基準」は全体の15%と低く抑えられていた。今回、県の提案、要望が反映されれば人口基準が35%に引き上げられる可能性があり改善が期待される。

 一方、県内消費の拡大に向けた取り組みはどうか。プレミアム商品券の発行事業や商店街の活性化を目指すポイントカード・システムの試験導入など商業振興の施策と、税収確保と結び付けた取り組みをもっと強めるべき。県内での購買を誘う具体的な動機付けとして地域振興を明確に打ち出し、県民の納税意識に訴求する。健康づくりや社会貢献と関連させた奈良市のポイント制度も県や他市町村の参考になりそうだ。

 またガソリンスタンドに併設の商店、鉄道駅内の店舗といった消費者の“動線”に沿った商業振興を支援するなど、具体的なアイデアも募りたい。

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