金曜時評

軍学協同への道か - 論説委員 北岡 和之

 昭和20年8月15日、わが国の敗戦で太平洋戦争の幕を閉じた後、冷戦の始まりもあって占領軍の経済政策は当初の「非軍事化」から「復興」へと移っていく。朝鮮戦争を経て「神武景気」へ。そして繊維産業中心の軽工業から重化学工業へ。経済・産業面における非軍事化は次第にぼやけていく。「科学技術の振興」が叫ばれるようになり、東京大学工学部に原子力工学科や電子工学科ができたのは昭和30年代半ばだ。

 なぜこんなことから書き始めたかといえば、最近の国際情勢や国内の動きと、経済・産業のことを重ね合わせたいからだ。

 防衛省が今年8月末、国の平成29年度予算の概算要求を発表。総額5兆1685億円で、この中に企業や大学に対して軍事に応用可能な基礎研究費を助成する「安全保障技術研究推進制度」として、110億円を要求した、と報じられた。実に28年度に比べて18倍もの増額だという。

 当然ながら、昔からある産学協同・官学協同の取り組みにおける、産学側への資金提供を通して軍事研究を促す姿勢の強化かと、関係者に警戒感を与えた。各大学からは、軍事への寄与を目的とする研究は行わないとしたり、軍事研究に関する資金援助は受けないとするなどの動きも出た。県内では、とりわけ奈良先端科学技術大学院大学(生駒市高山町)の存在が気になるところだが、いまは触れない。

 昭和40年代を中心に全国で起きた「学園紛争」の時代を生きた当時の学生の一人としては、戦後から現在に至る産学協同・官学協同の取り組みは常に思い浮かぶテーマの一つであり続ける。これは避けられないし、避けるべきでもないと思う。

 遠い中東地域のことだけでなく、身近な中国やロシア、韓国、北朝鮮、東南アジア地域との関係においても、私たちはとても難しく、厳しい状況に直面しているのだと思わざるを得ない。国家とは何か、防衛とは何か、戦争とは何か。私たちはもっともっと突き詰めて、知恵を絞って、これからの時代に絶え得る理念や未来への構想を確実に手にしなければならない。

 あの学園紛争、70年安保の時代を象徴した一人に、かつて東大全共闘代表だった山本義隆さんがいる。物理学の優秀な研究者として知られた山本さんが昨年出した本が「私の1960年代」(金曜日発行)。その後書きで、福島原発事故を防げなかったことへの無念を語り、現在は戦争とファシズムの前夜のようだと警鐘を鳴らす。

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