金曜時評

安全高める議論を - 編集委員 増山 和樹

 県教育委員会は先月、県内の公私立学校の運動会(体育大会)で平成27年度に起きた組み体操の事故について明らかにした。28校で練習中の事故が発生し、11人が骨折していた。重い数字である。

 組み体操は運動会の花形だが、県外では過去に死亡事故も起きている。実施の目的と安全について、現場の議論を深める時だろう。連帯感や達成感は高さを競わなくても味わえる。

 組み体操は学習指導要領に定められた時期もあったが、昭和30年代に姿を消した。学校行事として続いてきた背景には、児童・生徒はもちろん、地域住民の期待もあるという。注目が集まるメーン種目だけに、校長が見直しにかじを切りにくい側面もあったようだ。

 組み体操の中でも、「ピラミッド」と「タワー」はとりわけ事故が多い。今回の調査で骨折の11人はいずれもこの2種目だった。子どもが四つんばいになって積み重なる「ピラミッド」は8段が小・中学校で各1校、7段も小学校28校、中学校4校が挑戦していた。肩に立つ「タワー」は5段の小学校が5校あった。

 完成すれば児童・生徒の感動は大きいだろうが、取り返しのつかない事故が起きる危険も大きい。教員が何人ついていようと、高く積み上げた子どもが崩れ始めたら手の施しようがない。県教委保健体育課は「命にかかわる大きな事故が起きてからでは遅い。補助者がきちんと補助できる種目、練習時に十分な安全性を確保できる種目で行うべき」と話し、4月中旬までに県教委としての考えを示す方針だ。 

 小・中学校の組み体操実施は学校や市町村教委の判断で、県教委が踏み込むのはまれなようだが、現場の議論を深める狙いがある。期待を背負う校長も動きやすくなるだろう。

 跳び箱運動などでも骨折は多く、必要以上に安全にこだわるのは運動会の趣旨をそぐが、組み体操には安全性の高い種目もある。安全を犠牲にしてまで「ピラミッド」「タワー」にこだわる教育的意義は見えてこない。両手を広げた状態であお向けに転落▽1メートルの高さから転落し頭部を強打▽転落した生徒の上に別の生徒が転落―。スポーツ庁がまとめた組み体操の死亡例だ。大人に同じことができるだろうか。

 子どもの安全をみんなで考える。「先延ばしにせず、今やろうということ」。県教委の言葉に同感である。

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