金曜時評

不正隠蔽を許すな - 編集委員 松井 重宏

 大和高田市が国庫交付金を受けた事業2件で国に虚偽の内容を報告、法令違反を指摘されて、同交付金を国に返還していた問題。事業の実施に際して担当部署の段取りや見込みが甘く、定められた期限内に終了できなかったのがことの発端だが、より厳しく問われるべきは、庁内全体にある順法精神の欠如、そして隠蔽体質だ。もちろん市政トップの責任も免れない。

 多少は期限を超えてしまっても、検査で発覚する前に事業を完了すれば問題ないとする考え、風潮があったのか。県の検査が行われたのが昨年8月3日、対象となった事業のうち1件の完了が同15日だったというから、少なくとも同事業は、後わずかの期間で見逃されていた可能性もある。

 ただ、苦労して進めてきた事業だから何とか完成させたかった…などとする説明からは、違法行為をしたという自覚が全く見て取れない。ましてや虚偽の報告書を作成し、提出した事実を確認していながら、当該職員の処分が今年2月までずれ込んだのはなぜか、また同処分を公表しなかった姿勢も問われる。

 さらに市は、国から指示を受けて両事業に掛かる交付金の全額と延滞金を返還したが、必要な予算措置を昨年12月の市議会定例会に図った際、単に事業遅延で交付金を返さざるを得なくなったとだけ説明、虚偽報告をしていた件は明確にしなかった疑いが、市議に対する取材から浮かび上がってきている。

 これら問題の隠蔽ともとれる対応について市は「(事業の遅れに)関係した市民に悪影響がないか懸念した」などと説明。しかし虚偽の報告書作成と市民は何の関係もない。

 本来なら別の事業に使えるはずだった市の予算3700万円が、国への返還に充てられた事案でもあり、期限内に事業を完成できなかった行政力の不足も検証、改善される必要がある。だが、その事実をごまかそうとし、ごまかしたことも隠そうとした“市の体質”こそ追及されねば。

 行政の公平性、公正性を担保するためには順法精神とともに情報公開の推進も欠かせない。同問題の発覚を受けて、吉田誠克市長はコメントで「あってはならないこと」として、職員の法令順守徹底を図る方針を示したが、会見を開いて自ら謝罪する機会は設けなかった。何があったのか、改めて市民や市議会に明確に説明する場が強く求められる。

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