金曜時評

公費支出は厳しく - 編集委員 山下 栄二

 「酒池肉林」。酒や肉がふんだんに提供される豪華な酒宴の意味がある4字熟語。古代の中国、殷の紂王(ちゅうおう)が愛人の歓心を買うために、過剰な宴会を日夜開いた故事から由来する。吉野郡町村議長会の懇親会、県市議会議長会の昼食付きの会合の飲食代を公費で負担していたのは、少し大げさな表現かもしれないが、納税者に酒池肉林と取られても仕方がないだろう。

 吉野郡11町村のうち十津川村と野迫川村を除く9町村でつくる吉野郡町村議長会が年2回、コンパニオン付きで懇親会を開き、公費で支出していたことが今年2月に分かった。発覚後の2月27日に臨時総会を開き、昨年5、10月2回分の公費負担分を参加者らが自己負担して各町村に返還することを決めた。今後懇親会を開く場合は飲食代を全て自己負担とするという。ちなみに、酒池肉林に肉欲の意味はなく、女性に囲まれた宴会を酒池肉林というのは本来は誤用だそうだ。

 一方、県市議会議長会(正副議長)は昨年度、昼食付きの会合を2回開き公費で支出した。コース料理で1人約1万4千円だったというから、昼食としては、ずいぶんぜいたくだ。批判を受け、今月26日の会合では昼食を弁当に格下げし、1人3千円を自己負担した。さらに、昨年は宴会費を含め約4万5千円を公費で賄っていた県外視察研修も今後は改正し、宿泊料1万4800円、日当3千円とする支出基準を定め、懇親会費は自己負担とすることを決めた。

 議員の常識は、世間の非常識であるのか。議員や公務員の宴会を公費負担とするのは、現在では考えられない。長引く不景気で、地方自治体はいずれも厳しい財政運営を強いられている。血税は1円でも無駄にできない時代なのだ。数十年前なら公費による宴会がまかり通っていたのは知ってはいたが、現在まで慣習として続いていたのには驚いた。と同時に、これまでの間、宴会の公費支出を疑問に思った“先生”がいなかったのだろうか。いても周囲に遠慮し、声を上げられなかったのだろうか。

 吉野郡町村議長会、県市議会議長会とも「今後は懇親会(宴会)費は自己負担」とすることで一応の決着をみたが、同様の問題はまだまだ多いと推測できる。「過ちて改めざる、これを過ちという」(論語)。関係者の自浄作用に期待するとともに、県民一人一人の監視の目が必要だろう。

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