金曜時評

病院問題に審判を - 主筆 甘利 治夫

 東京都知事選挙が告示され、予想の各氏が立候補し、舌戦を展開した。地方選挙とはいえ、首都決戦でもあり、国民の関心は極めて高く、どのような選挙戦になるか注目している。

 前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏(67)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)、元厚生労働相の舛添要一氏(65)、元首相の細川護熙氏(76)の4人を中心に争われそうだ。

 それにしても主要政党の支援も複雑だ。政権与党の自民、公明両党が舛添氏を支援し、共産、社民両党は宇都宮氏を推薦した。民主党と生活の党、結いの会と、元自民党総裁だった小泉純一郎元首相が細川氏を支援する。日本維新の会は、自主投票を決めているが、元都知事の石原慎太郎共同代表が個人で田母神氏、幹部は細川氏と分裂気味だ。また連合東京は舛添氏を支持と、支持政党の民主党とはねじれた対応となった。

 細川氏を支援する小泉元首相は「脱原発」の1点で戦うといい、あの郵政選挙を思い出す。「脱原発」を掲げ、小泉旋風よ再びということか。

 日本の人口の1割を擁する東京にあって、都知事の仕事は教育や福祉、医療、防災など多岐にわたる。もちろん2020年の東京五輪・パラリンピックへの対応も国民的課題だ。それだけに原発の再稼働を認めないとする「原発ゼロ」の是非を争点とする、1点勝負の選挙戦は考えさせられる。

 3年前の奈良県の知事選で、話題を呼んでいた関西広域連合の参加の有無だけを争点化して選挙が行われたことを思い出す。知事の仕事は県民生活のすべてに関わるものだ。財政再建はもちろん、福祉、教育、道路、医療、雇用、産業振興、文化、観光など各政策が問われるものだ。当時の本紙は「広域連合の参加」の是非のみを争点とすることは避けた。県民生活をどうするか、それを誰に託すかの主張を続けた。ワンフレーズのみのショー化した選挙はおかしいとの判断からだ。

 地方選ではあるが、首都・東京の有権者が賢明な判断を下すことを期待したい。

 そこで、わずか1年と少しの間に、今度の都知事選が実施されるに至った経緯を忘れてはなるまい。公選法違反事件で逮捕者が出た医療法人「徳洲会」側から、猪瀬直樹・前知事が5000万円受け取った問題で、辞職に追い込まれた。東京地検特捜部が猪瀬氏を任意で事情聴取していることも分かった。

 その徳洲会を指定管理者とする市立病院開設の是非が争点となっている生駒市長選は、いよいよ26日に投開票される。3選を目指す現職の山下真氏(45)に対して、新人の生駒民主商工会事務局長の久保秀徳氏(59)、同じく新人の政治団体「かがやけ生駒だいすき後援会」代表の土倉幸雄氏(77)が挑んでいる。

 山下市長は「関西一魅力的な住宅都市」を標ぼうして初当選し、子育て支援や環境問題など一定の評価を受けてきた。市立病院の建設は悲願ともいえるもので、昨年8月には起工式まで行っている。しかし、徳洲会グループの暴力団交際疑惑の発覚、続いて公選法違反事件により、様相が変わってきた。

 「指定管理者の適格性は医療行為のみ」として、問題なしとの立場をとっているが、猪瀬前都知事に5000万円もの巨額資金の提供ができる徳洲会への疑問の声は大きい。その「適格な医療行為」をするための資金が気になる。

 選挙戦での論戦を通じ、生駒市民がどのような審判を下すか、注目したい。

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