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国原譜

以前、作家の浅田次郎さんに「天誅組をテ…

 以前、作家の浅田次郎さんに「天誅組をテーマに書かないのですか」と尋ねたことがある。4、5年前に京都で開かれた日本ペンクラブの懇親会。

 当時の会長は阿刀田高さんだった。総会を終えたあと庭園の離れた場所でカレーライスを食べていた浅田さんを見つけた。初対面ながら「ファンです」。

 人気作家は迷惑そうな顔もせず、スプーンを置いて「予定はありません」。「新選組は書いておられるので、ぜひ」とお聞ききしたが「書きません」。ほとんど興味もない様子だった。

 「壬生義士伝」も、先ごろ日経新聞で連載を終えた「黒書院の六兵衛」も旧体制の側で粛々と組織に殉じた男の姿を描いた。強いこだわりがあるのだろう。

 それはそれとして、直木賞作家には、大和の片田舎で「維新のさきがけ」と信じて戦い、時代の渦にのみ込まれていった青春群像を描いてほしいと思った。

 司馬遼太郎の歴史小説にも魅力的な十津川郷士が登場するが、ほとんど脇役だ。義挙から150年、さらに光が当たってもよい。東京人で元自衛隊の作家には「維新」は対極の存在なのかもしれない。(コ)

 

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