社会
暦は春 淡竹の“花” 茶せんの里で竹の寒干し - 奈良県生駒市
「立春」が過ぎ、暦の上では春を迎えた。まだまだ寒い日が続くが、立春から春分までの間に初めて吹く南寄りの強い風が「春一番」と呼ばれる。
この時期、国内有数の茶せんの産地として知られる奈良県生駒市高山町では、円すい状に組み合わせた淡竹(はちく)を冷たい風にさらす「寒干し」が、田んぼや道路わきの空き地で行われる。遠くから見ると、大きな花が咲いたよう。
水分が抜けて艶のある白い竹になるまで約1カ月。竹はさらに1年ほど寝かせ茶せんなどさまざまな竹製品が作られる。その全ての工程が手作業で行われる。
茶せん一筋に伝統を守る「竹茗堂左文」でも3月末までに約1万5千本を干す。代表の久保左文さんは「上質の竹を確保するため、竹林の再生にも取り組んでいる」と話し、わび茶の精神を今に伝えている。