大安寺副住職がエッセー本 仏教の奥深さや僧侶の日常描写

奈良市の大安寺副住職、河野裕韶(ゆうしょう)さん(34)が、エッセー本「大安寺の365日」(西日本出版社)を出版した。「興福寺の365日」を出版した辻明俊・興福寺執事の推薦で、「365日シリーズ」の第3弾として発売。銀行員を辞めて仏門に入り、日本で初めて天皇が創建した由緒ある寺の副住職となった河野さんが、一般人だったからこそ見える仏教の奥深さや僧侶の日常を伸びやかに綴る。
大阪府内の一般家庭に育ち、南都銀行に就職した河野さんは、25歳の時に同寺の河野良文住職の一人娘と結婚し婿入りを決意。高野山専修学院で修行し得度を受け、同寺に入山した。
現在は副住職として、奈良時代の同寺の大伽藍(がらん)をCG(コンピューターグラフック)で再現したプロジェクトをはじめ、奈良国立博物館で開かれた「大安寺展」、余ったお供えの酒をアルコール消毒液に変えて活用する「神仏酒合プロジェクト」など新しい視点での取り組みを主導している。
本書では、同寺との出合いから修行時代、仏教の話、寺での生活や未来までを素直な思いで記している。
河野さんは「自分は王道の僧侶ではなく半人前にも満たない」とし、「読者の方の目線を大切にわかりやすく書きました。先代が復興した大安寺をかつての高みに押し上げるきっかけの1冊になれば」と願う。
A5判、約180ページ。1650円(税込み)。全国の書店で販売中。
問い合わせは、西日本出版社、電話06(6338)3078。