聖林寺の観音堂、CFでの改修完了 8月1日から拝観再開
奈良県桜井市下の聖林寺(倉本明佳住職)で、国宝・十一面観音菩薩立像(奈良時代)を安置する観音堂の改修工事が終わり、7月26日、報道関係者に公開された。
1959(昭和34)年に建てられた観音堂は、老朽化による耐震性不足の懸念から5年前に改修事業を発願。改修事業総額は1億5千万円(最終1億7千万円)に上ることが判明し、寄進や計3回のCF(クラウドファンディング)で支援を募った。
集まった支援額は総額で約1億2600万円に達し、2021年8月に改修に着手して今年5月に竣(しゅん)工を迎えた。
同像は高さ約2メートル9センチの木心乾漆像。大神神社の神宮寺の一つ、大御輪寺の本尊だったが、幕末に聖林寺へ移された。均整のとれた仏身を持ち、明治時代にアメリカの哲学者アーネスト・フェノロサが、その美しさを称えたことで知られる。
観音堂は鉄筋コンクリート製で、前室や入り口を合わせると改修前の2・5倍の広さ。内部のドーム型収蔵庫(高さ5・6メートル)に同像を安置し、空調で温度と湿度を管理。免振装置付きのドイツ製ガラスケースが設置され、反射を抑えた透明度の高いガラスで同像との隔たりを感じずに360度から拝観できる。
倉本住職は「改修が決まってからコロナ禍になり、大変なことがたくさんあった。皆さまの温かいご支援をうけて立派で安全なお堂が完成し、ありがたく思います」と涙を浮かべながら感謝の言葉を述べた。
一般拝観は8月1日から再開される。