広陵町営住宅明け渡し求め、町会が訴訟案を全会一致で可決
奈良県広陵町議会の臨時会は25日、町営住宅を解体して自宅を建築していたことなどが問題となっている男性(73)が、町が定めた期日を過ぎても住宅の明け渡し請求に応じないとして、町が上程した明け渡しを求める訴訟案を全会一致(欠席1)で可決した。町は8月上旬に奈良地裁葛城支部への提訴を予定している。
町は先月、町営住宅管理条例に基づき、明け渡しを男性に文書で通達。文書到着後1カ月以内に更地にすることを求め、その間の家賃は2倍、応じない場合は提訴するとしていた。期日となる17日までの退去が確認できず、住宅の明け渡しを求めて提訴するために臨時会で議決を求めた。
男性はこれまでの奈良新聞の取材に対し、18年ほど前に平屋の建物を取り壊したことを認め、「老朽化がひどく、町に言っても直してくれないので、少しずつ取り壊して増改築した」と説明。明け渡しについては「決定に従うが、更地にして1カ月で明け渡すのは厳しい。転居先の土地を確保し住宅建設を進めており、年内に退去する」と話している。
一方、町はこれまで、男性の無許可での増改築を認識していたものの、行政指導や具体的な明け渡し手続きを怠ってきた。今回問題が明るみになったことで、長年の懸案事項に対してようやく厳しい対応姿勢を見せている。
閉会あいさつで、山村吉由町長は「町が今まで取り組んできたことが不十分だったという反省の上にも立たなければならない。訴えを起こさず進めることを願うが、法的に処理することもやむを得ない」と話した。
また、同日開かれた町議会総務文教委員会では、疋相町営住宅の他の無断増改築住宅についても町が居住者に対する聞き取り調査などを実施し、個別での対応を検討するとの報告があった。