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非難集まる奈良県警の警備態勢 360度から襲撃が可能 緊急連載白昼の凶弾(下) - 安倍元首相銃撃

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中央に見えるガードレールに囲まれた場所が銃撃現場で、どの方向からも人が近づくことができた=8日、奈良市西大寺東町2の近鉄大和西大寺駅北口前

 今回の安倍晋三元首相の奈良県来県は事件前日の7日、急きょ決まった。一部報道機関が県選挙区の自民党現職の苦戦を伝えたからだ。高市早苗衆院議員(県2区)は自身の交流サイト(SNS)で、同日に安倍氏から「問題ないと思うけど、京都に行くことが決まったので、奈良まで行きます」とのメールがあったことを記す。

 

 一方、同日に岡山市での安倍氏襲撃を断念した山上徹也容疑者は、インターネットで8日の近鉄大和西大寺駅前での街頭演説を知った。

 

 山上容疑者は犯行時、手製の銃を持って安倍氏の背後から近づき、約7メートルの場所で1発目を、さらに近づいて約5メートルの位置から2発目を発射。2発目までに約3秒あったが、有効な防御行動が行われず、警護警備態勢も含めて県警に非難が集まる。

 

 県警は安倍氏の警護を、警衛警護・危機管理対策参事官以下の態勢で実施。警視庁の身辺警護員も従事していた。警護人数などは「今後の警備活動に差し障る」として明らかにしていない。演説を把握したのは7日夕方で、鬼塚友章県警本部長が当日朝に警護計画書に目を通し原案通り最終承認した。

 

 警護が必要な要人が街頭演説を行う場合、街宣車の上に乗ったり、背後に遮蔽物がある場所で行うことが多い。参院選期間中の6月28日、安倍氏が近鉄生駒駅前で演説したときは背後に生垣があった。しかし、今回の事件現場は道路や横断歩道に囲まれ、360度の方向から人が近づける場所だった。

 

 人通りが多い近鉄大和西大寺駅北口前はさまざま選挙で街頭演説が頻繁に行われたが、これまでは今回より北側の位置で選挙カーを止めて実施することが多かった。が、今は駅前整備事業で車がUターンできる道路が設けられ、その位置で演説ができなくなった。ある自民党関係者は「今回の位置を使ったのは、(6月25日の)茂木敏充幹事長に続いて2度目だと思う」と言う。

 

 県警にとっても同駅前は何度も警護を行った場所だが、わずかな位置の変化でほころびが生じたのかもしれない。9日、会見を開いた鬼塚本部長は警護・警備態勢について「問題があったことは否定できない。警察官人生で最大の悔恨」と涙を浮かべてコメント。「人員の配置や警護人の個々の能力などあらゆる点から見直し、早急に対応していく」とした。

 

 また、警察庁も12日、警護警備に関する「検証・見直しチーム」を立ち上げ、警護警備の態勢や警護措置要領、装備資機材などについての検証を行っている。

 

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