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近鉄の運賃値上げ巡る公聴会 共存共栄へ対話を 荒井・奈良県知事、近鉄へ提案

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公聴会で意見陳述する荒井知事=14日、大阪市中央区の合同庁舎

 近畿日本鉄道(=近鉄、大阪市)の運賃改定を審議する国土交通大臣の諮問機関「運輸審議会」(牧満会長)の公聴会が14日、大阪市中央区の大阪合同庁舎第4号館であり、一般公述人として参加した荒井正吾奈良県知事は鉄道会社と沿線地域が共存共栄できるよう、対話しながら協力してまちづくりを進めることを提案した。同審議会は公聴会の意見も踏まえ、答申に向けて審議を継続する。

 

 近鉄は厳しい事業環境を理由に2023年4月からの全線運賃値上げを国交省に申請。これに対し県は、運賃改定は鉄道を日々利用している県民に多大な負担となるとし、公聴会の意見陳述を申し込んだ。

 

 近鉄の都司尚社長は新型コロナウイルス感染症が拡大した20年度の旅客運輸収入は約934億円と、ピーク時より半減するなど厳しい経営環境にあり、今後もコロナ禍前のような鉄道需要は見込めないことから必要な投資を進めるために27年ぶりに運賃改定する判断をしたと説明。増収分は安全、防災対策や高経年の車両の更新などに投資するとした。

 

 一方、荒井知事は運賃改定は「多くの県民に多大な負担となる。提供するサービス水準の向上や地域に必要な投資について約束が行われないまま、運賃値上げによる負担だけを求めるのであれば、県民の理解は得られない」と意見陳述。 

 

 さらにコロナ禍以前の輸送人員が関西大手私鉄5社の中で近鉄だけが減少していることなどを指摘。「沿線の魅力向上を図り、鉄道を日常的に利用する輸送人員の確保、増加を図る投資は鉄道事業者と沿線住民を結ぶ大事な接点」と述べ、県が進めるプロジェクトへの参画や地域との対話を求めた。

 

 公聴会に先立ち、県内26市町村から寄せられた意見は近鉄に資料提供した。

 

 最終陳述で、都司社長は近鉄大和西大寺駅の高架化や奈良線の移設計画の協議、沿線のまちづくりなどに積極的に参画する姿勢を示し「利用者のサービス水準向上や沿線地域への投資について、地域と定期的な対話を行いながら積極的に取り組みたい」と述べた。

 

 荒井知事は公聴会後、報道陣の取材に「都司社長から今後も対話をするという回答があった。大きな一歩」と評価した。

 

 一方、同問題について奈良市の仲川元庸市長は14日開いた会見の中で、「市からは県に意見書を出している。基本的な考えとしては、近鉄には非常に長い営業距離を持たれている中で、廃線もせず路線を維持していただいている。料金が上がることで市民生活に負担がかかるのは間違いないが、無人化の対応とか、これまでの経営努力については一定理解している」としたうえで、「料金値上げをするのであれば、駅のバリアフリー化などを前向きに考えてほしい」などと要望した。

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