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奈良県選挙区候補者アンケート(上) - 参院選2022

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 第26回参院議員選挙(10日投開票)の県選挙区(改選数1)について、奈良新聞社は立候補している6人全員に政見、政策などを聞くアンケートを実施、回答をまとめた。選挙では長引く新型コロナウイルス感染症や物価高騰への対応、安全保障政策、憲法改正の是非などを主な争点として与野党が対立。県選挙区は6人が出馬する激戦となっている。政策課題に対する取り組み姿勢、考え方などを比較した。

 

 県選挙区に立候補しているのは、共産党新人の北野伊津子氏(46)▷参政党新人の中村麻美氏(43)▷立憲民主党新人の猪奥美里氏(42)▷日本維新の会新人の中川崇氏(36)▷自民党現職の佐藤啓氏(43)▷NHK党新人の冨田哲之氏(70)―の6人。

 

 物価高騰への対策など経済政策について聞いた質問では大半の候補が消費税の減税に触れ、北野候補が5%への引き下げとインボイスの中止などを主張。猪奥候補は消費減税と強力な財政出動を訴え、中川候補は軽減税率を段階的に3%に引き下げると提案した。

 

 佐藤候補は「時限的な減税」と前置きした上で積極的な検討姿勢を見せ、冨田候補も消費減税を訴えた。

 

 中村候補は消費税には触れず、非常に低い日本の自給自足率の向上が重要と指摘。同施策は冨田候補も取り上げた。

 

 改憲問題については、北野候補が改正は不要としたのに対し、中村、猪奥両候補は改正に関する議論を要望。中川、佐藤両候補は党が掲げる改正案を示し、冨田候補も改正に積極姿勢を答えた。

 

 ロシアのウクライナ侵攻も踏まえて聞いた外交、安全保障政策では、北野候補が平和外交を主張、防衛費増額に反対したほか、猪奥候補も軍拡を否定し、外交と日米安保による安全保障の維持を訴えた。中村候補は時代に即した防衛戦略や危機管理体制の構築を標榜(ぼう)。中川候補は国民の生命と財産を守る積極防衛能力の構築を主張し、佐藤候補は反撃能力も含めた抑止力の向上、米国などとの関係強化を図るとした。冨田候補は外国人、外国籍企業による国土の取得制限などを訴えた。

 

 

北野 伊津子候補 共産新

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 物価高騰は、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略だけでく、アベノミクスによる「異次元の金融緩和」が原因です。この路線を大きく転換し、「やさしく強い経済」を目指します。具体的には、消費税5%への引き下げとインボイスの中止、大企業内部留保への適正課税を財源にした中小企業支援による賃金引き上げ(最低賃金で時給1500円、月額25万円を目指す)、年金削減の中止、大学学費の半減など「分配から成長」を実現します。また、原油価格高騰対策として、トリガー条項の発動を含む卸売り価格の引き下げ、飲食店、運輸業、中小製造業、農漁業など事業用燃油の価格引き下げなどを実施します。

 

 

(2)憲法改正について

 

 憲法「改正」は不要と考えます。天皇条項を含め、憲法の全条項を守り、憲法にもとづく平和外交を推進します。日本国憲法は、侵略戦争によりアジアで2000万人、日本で310万人の犠牲を出した痛苦の反省に立ち「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする」(前文のママ)ことを決意し、国民主権・戦争放棄・基本的人権の尊重など、世界に誇るべきすぐれた内容を持っています。「緊急事態」条項で国民の基本的人権を制約したり、「自衛隊明記」による集団的自衛権でアメリカの世界戦略に組み込まれるなどの動きに反対します。

 

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 ロシアによるウクライナ侵略を厳しく糾弾します。同時に、ウクライナ情勢から引き出す教訓は「力対力」に陥る軍事同盟の強化ではなく、地域のすべての国を包み込んだ平和の枠組みをつくることです。東アジア規模の全体的な平和の枠組みを提唱しているASEAN諸国と協力し、憲法9条をいかした平和外交をすすめます。軍事予算2倍化の動きにキッパリ反対します。

 

 核の脅威にこたえる唯一の道は、核兵器を廃絶することです。世界で唯一の戦争被爆国である日本が核兵器禁止条約に参加し、「核兵器のない世界」の先頭にたつことを求めます。

 

 

 

中村 麻美候補 参政新

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 日本は自給自足率が非常に低く、野菜の種や肥料を含め輸入に頼っている。国民1人あたりのGDPが20年間変わらぬ中で円安、インフレが起きると、生活困窮者が増加するのは必然。日本の自給自足率を上げる方向性に舵(かじ)を切るべきである。

 

(2)憲法改正について

 

 憲法については、自民党の改憲案には賛同しません。国民の自由や権利を制限する可能性のある改正(97条削除、緊急事態条項追加)については断固反対し、国民の自由や権利を守ります。これを前提に国民的議論を起こし、日本の伝統や慣習を鑑みた自主憲法を時間をかけてつくろうというのが、参政党のスタンスです。

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 多面的領域で瞬時に致命的ダメージを与える現代戦のもとで、専守防衛では人命と国土を護れなくなっています。時代に即した21世紀型の防衛戦略や危機管理体制の構築、及び日米安保条約と日米豪印戦略対話(Quad)をアジア海洋同盟として進化させ、自由で開かれたインド太平洋地域における連携を強化します。 また、上記の諜(ちょう)報・浸透・破壊工作等の危機管理以外にも、いま世界の災害大国となった日本では国民の命と生活の安全保障を強化することが喫緊の課題であり、防災・減災面をはじめとする危機管理体制を強化するとともに、ハード・ソフト両面での国土強靭(じん)化を、日本固有の自然環境や生態系と調和した総合的な視点から進めます。

 

 

 

猪奥 美里候補 立民新

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 2013年に旧民主党が政権を失って以来、給与の上昇を約束してきた自民党・日銀の約束が、まったくの空手形であったことがここに判明しました。実現できたのは生活物価の上昇(悪いインフレ)だけです。立憲民主党は消費減税と強力な財政出動で、賃上げと国内消費を押し上げます。

 

(2)憲法改正について

 

 日本国憲法を一文字たりとも改正しないという立場ではありませんが、第9条の平和主義については国民の広範な議論が必要であり、ウクライナ問題にかこつけた火事場泥棒的な改正には反対です。

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 現在約5兆円の防衛費を2倍にすれば日本の安全が保障されるおかしな議論が横行していますが、ウクライナ問題で明らかになったことは核抑止のいまだ強固な有効性でした。そもそも中国の防衛費は26兆円、米国の防衛費は80兆円を超えています。この国々と軍拡競争を行うことは、現実的ではありません。軍拡よりも外交を通じて、日米安保という安全保障政策を堅持していくことこそ重要です。

 

 

 

中川 崇候補 維新新

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 日銀による金融緩和を継続し雇用を守りつつ、ウクライナ危機を背景とする石油製品、電気・ガス料金、食料品等の物価高騰に対応するため、以下の施策を最優先で実施する。

 

 消費税の軽減税率を現行の8%から段階的に3%(状況により0%)に引き下げ▷中小企業法人税率を所得の金額にかかわらず国際最低税率の15%に引き下げ▷中小企業・低所得者の社会保険料を大幅に減額又は免除▷ガソリン税の暫定税率(当分の間税率)の廃止▷電気・ガス料金の料金設定を見直して激変緩和措置を講じる▷物資等を輸送する場合の有料道路料金の減額等を行い、物流に係る費用の上昇を抑制▷輸入麦の政府売渡価格の引き下げ等

 

(2)憲法改正について

 

 憲法改正については、以下の5項目の実現を目指し、国会における議論を牽(けん)引する。 (1)義務教育の他、幼児教育、高校、大学など、教育の全課程について完全無償化を憲法に定める。(2)中央集権体制から地方分権体制(道州制)に移行し、国の機能強化と地方の自立を実現する憲法改正を行う。(3)法令又は処分その他の行為が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する第一審にして終審の裁判所である憲法裁判所を設置する。(4)憲法第9条に、平和主義・戦争放棄を堅持した上で、自衛隊を規定する。(5)他国による武力攻撃、内乱・テロ、大規模自然災害、および感染症の蔓(まん)延などの緊急事態に対応するための緊急事態条項を憲法に創設する。

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 ウクライナ危機を機に多くの国民が感じている日本の安全保障への不安を根本的に解消するため、将来にわたり戦争を起こさず、国民の生命と財産を確実に守るための「積極防衛能力」を構築する。具体的には、防衛費のGDP比2%への増額、最先端の技術革新を踏まえた防衛力の整備、憲法9条への自衛隊の存在の明記等を行った上で、核拡大抑止についてもタブーなき議論を行う。

 

 また、経済安全保障やインテリジェンス、食料安全保障、エネルギー安全保障など非軍事面の安保体制の拡充を図り、ハイブリッド戦への対応力を強化し、あわせて、国連安全保障理事会の抜本的改革を提案・リードし、平和をつくり維持するための新たな国際的枠組みの構築を目指す。

 

 

 

佐藤 啓候補 自民現

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 わが国は、他国と比べると、全体としての物価上昇率は相対的に低く抑えられているが、エネルギーと食料品の価格の上昇が著しい状況にある。

 

 従って、短期的には、ガソリンなどのエネルギー価格や小麦などの食料品の価格の上昇を抑制するため国が必要十分な財政的支援を継続することが必要。また、生活困窮世帯や子育て世帯への支援をプッシュ型で届けることが必要。状況によっては、時限的な消費税減税も積極的に検討すべき。

 

 中長期には、同一労働同一賃金の実現、男女間賃金格差の解消、最低賃金の引き上げ、賃上げ税制の活用、取引関係の適正化などによって、賃上げの環境を整備する。

 

(2)憲法改正について

 

 「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の三つの基本原則を維持しつつ、技術革新やわが国を取り巻く安全保障環境、時代や社会の変化にあわせて憲法を改正する。

 

 自民党では、(1)自衛隊の明記、(2)緊急事態対応、(3)参議院の合区解消、(4)教育の充実の4項目を憲法改正項目として提示しており、国民の皆様の幅広いご理解を得るため、全国各地で対話集会を積極的に開催している。今後も丁寧に憲法改正の必要性について説明をしていく。

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 わが国の安全保障環境は戦後最も厳しい状況にある。ロシアによるウクライナ侵略は明らかな国際法違反であり、国際社会が連携して最大限の制裁措置を取る必要がある。わが国も、経済への悪影響を受けながらも最大限の対応をしているものと評価できる。今後、このような力による一方的な現状変更をとりわけ東アジアで許してはならない。

 

 また、自らの国は自らの力で守り抜かなければならないことが再認識させられた。今後、反撃能力も含めた抑止力の向上が必要であり、抜本的な防衛力の強化を図っていくべき。その上で、同盟国である米国や他の友好国との関係強化を図っていく。

 

 

 

冨田 哲之候補 N党新

 

(1)物価高騰対策をはじめ経済政策について

 

 急速な円安や世界的な原材料価格の上昇、ロシアによるウクライナ侵攻など。

 

 ▷国防・国益には消費税率10%を下げる。国内産業、主食は米、食糧の自給率を高める。

 

(2)憲法改正について

 

 日本国憲法は今年、施行から75年を迎えました。

 

 ▷国防・国益には 軍隊のないのは日本だけ、自分の国は自分たちで守る。

 

(3)外交・安全保障政策について

 

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻は世界に大きな衝撃を与えました。

 

  ▷国防・国益には スパイ防止法が無いのは日本だけ反対する勢力は売国奴の可能性もある、外国人労働者、留学生を制限する。外国人、外国籍企業に国土の取得制限をする。

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