ハウス柿五條で出荷 夏に楽しむ“秋の味”
暑い夏をひとっ飛び―。温室育ちで、露地栽培より2カ月以上早く食べられるハウス柿の出荷が6月30日、奈良県五條市で始まった。贈答用などに喜ばれるという。
県内では、五條市と下市町の生産者27軒が計12ヘクタールで栽培している。長さ50メートル級の大きなビニールハウスが建ち並び、年末から5月末ごろまでボイラー加温。早いものは2月下旬に花が咲いて結実し、ふくらんで涼やかなオレンジ色になった。
原油高騰が大きく影響した今シーズン。栽培の集約化など農家が工夫した結果、出荷量は前年より1割減の440トンになりそう。
「重油高で苦労したが手をかけて大事に育てました」と生産者団体「JAならけんハウス柿部会」の山本義之部会長(54)。「真夏を飛び越えて、甘い秋の味覚をお届けします」とにっこり。日照量が多く、糖度が増しているという。
なめらかな食感が特色の渋柿「刀根早生(とねわせ)」がハウス栽培でも主流。共同選果場の脱渋施設で渋を抜いている。
初日の出荷量は1.5トンで、選果ラインに乗ると光センサーが色や大きさで選別。ていねいに箱詰めされ、各地の市場へと運ばれた。ハウス柿の出荷は9月中旬まで続き、露地栽培の刀根早生にバトンタッチする。